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「啓発すること」は、「発信すること」。これから部落差別をはじめ、あらゆる差別の問題について発信していきます。

県民講座2019 第3回

演題 情報戦争とネット上の人権侵害
講師 津田大介さん
○講師プロフィール
 ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。早稲田大学文学部学術院教授。メディアとジャーナリズム、著作権、コンテンツビジネス、表現の自由などを専門分野として執筆活動を行う。近年は、地域課題の解決や社会起業、テクノロジーが社会をどのように変えるかをテーマに取材を続ける。
○インターネット接続=人権←国連認める(知る権利が根拠)
SNSで社会が変わる(ポジティブに)
アラブの春occupy wall street(2011)、雨傘運動(2014)、保育園落ちた日本死ね(2016)、me too運動(2017)、熊本地震の時→新聞社が避難所情報→学生がマッピング、市長が水が出ている所教えて(ツイッター活用)、クラウドファンティング(東日本大震災不登校フリースクール、沖縄の離島に医療飛行機)
ポスト真実 2016「今年の言葉」(オックスフォード英語辞書)
 ポスト事実の政治とは、政策の詳細や客観的な事実より個人的信条や感情へのアピールが重視され、世論が形成される政治文化。(イギリスのEU離脱トランプ大統領)
→事実の軽視(フェークニュース)、感情の優越、分断の感覚(差別の顕在化)
輿論(よろん)と世論(せろん)の違い
輿論(よろん)→人前でも堂々と言える公的関心、世論(せろん)→相手に面と向かって言えない私的心情⇒新国立競技場、東京オリンピックエンブレム問題⇒国際コンペ、輿論の支持がネット世論に押されて覆され、政治的意思決定された。
○一部を切り取って悪意に伝えることが可能。イメージとして(氷山の一角)→例、ハワイのキノコの山、沖縄の看板、多様な人が映るトランプ大統領の集会(多様な人に支持されている。)コンサート会場(寄ると結構人がいる、引くとがらがら。)⇒一部を切り取ることで、違うイメージになる。→個人がテレビ並の影響力を持つ。
○フェークニュースがなぜなくならないのか?
・義憤に燃えた人(確信犯)
・世論工作を請け負った業者(2014衆議院選挙多くのツイートがコピー、依頼の判明)
・ビジネスとして煽るメディア(アクセスを稼ぐ、月700万円 上位サイト、企業広告の問題)
・中間層(善意の第三者)
○非マイノリティポリティクス→マイノリティとして満たされていない。
・ネット上の批判→主に3パターンに分類
A 韓国・中国に対する憤り(Aも弱者)
B 弱者利権
C マスコミに対する批判(Bの擁護者)
⇒すべてBになる→マイノリティへの違和感
⇒ネット上「弱者を叩く記事」が中心←広告収入
○ロシアのネット世論工作(昔、スパイ、今、ネット諜報者)⇒ネット業者が世論をコントロールする時代→サクラ書き込み、報酬を得て、リツイート
○AIで何ができる
・画像、動画をつくる。記事を書く(朝日新聞 高校野球地方大会短評)
・ヘイト記事→怖い
・AIを検索に利用
○フェークニュース→正しいニュースよりも拡散する(1500人に到達する速度6倍)→拡散するのは人間だった(善意の第三者)
○ネット上の人権侵害の対策(ユーザーが好き勝手できないように)
・「技術」で解決→業者に対策
・「経済制裁」広告協会(配信停止)
・発信者情報開示請求の改善で解決
・報道で解決
ヘイトスピーチ規制
・プラットフォーム規制       ・広告規制
・実名公表(訴訟コストの問題)   ・サイトブロッキング
・法規制
○若者の保守化(現状追認)
ネット利用によって→ネット排外主義的意識
欧州委員会→IT大手4社と合意(ヘイトスピーチ対策)→なかなか進まない→法規制するよ
・ドイツ→60億円の罰金→過剰削除→混乱
・中国、シンガポールのように強い規制を取ると
  →中国に「報道の自由」あるか
・法廷にも
○相手と社会的関係を築き、文脈に入って行くことで「聞く耳」を持ってもらう。

例 野球のファンクラブ
○ネット社会だからこそ「会って話す」ことの大切さ
ゲートキーパーとしての報道の信頼が落ちている。←フェークが入り込む隙を作っている。
○三つの情報源の確保→バランス良く
・ネット
・紙(書籍・新聞)
・人(会話)、体験