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「啓発すること」は、「発信すること」。これから部落差別をはじめ、あらゆる差別の問題について発信していきます。

行橋市コスモス人権セミナー

講演 人権について考えるポイント~今・ここ・自分事として考える~
講師 谷口研二さん(福岡県人権研究所事務長)
 啓発ビデオ「あなたに伝えたいこと」(兵庫県/2015)で考える
 結婚差別をテーマにした啓発ビデオで、その内容から色々なことを考える講演でした。
○「プライバシー権」という考え方
①自己情報に第三者が勝手にアクセスできないようにすること
②自己情報に自分自身が自由にアクセスできること
③自己情報を開示するか否かを決める権利(誰に、何を、いつ、どこまで~)自己開示⇔暴く、暴露する、さらす
○差別につながる個人情報をめぐる「規制」の動き
2019 福岡県部落差別の解消の推進に関する条例
2016 「全国部落調査」(復刻版)予約開始、抗議で取引中止
2005 「探偵業の業務の適正化に関する法律」(議員立法)
2002 「プロバイダー責任法」被害者は内容の削除や書き込んだ人の氏名の開示を要請することができる
「身元調査お断り」運動
1995 福岡県部落差別事象の発生の防止に関する条例
1985 住民票公開制限措置(弁護士、司法書士等8業種は適用外)
1976 戸籍謄本等公開制限措置
1975 「部落地名総監」発覚。法務省は10年かけて企業等から663冊回収。
1973 「全国高等学校統一応募用紙」
1968 壬申戸籍閲覧禁止
 壬申戸籍廃棄要求闘争
1965 同和対策審議会答申(「差別に対する法的規制」)
○結婚差別の仕組み
-「我が子の幸せを願う親と親」が、なぜ対立してしまうのか
差別する側のリクツ-それが差別だと気付かない差別
祝結婚→孫がかわいい→部落差別がある→かわいい孫が差別されるのはかわいそう→選択肢ア結婚に反対、選択肢イ、選択肢ウ・・差別に反対という選択肢もあるはず
○「差別の現実」(被害の実態)はどこにあるのか-「見えない」から「ない」のではない
見える現実→報道される現実(統計)→語られる現実→語られない現実+相談(関係、システム)によって明らかになる現実
する側(あちら)される側(こちら)「壁をつくる」か「橋を架ける」か。境に立つ大切さ
○偏見発生の仕組みと、偏見・差別意識・差別行為の克服に必要な「学力」(資質とスキル)
偏見発生の仕組み→情報の欠落
傾向 ①合わせる(伝聞→推定→思い込み→決めつけ) ②認めない(一事が万事、白か黒か) ③攻撃する(不満のはけ口、責任転嫁)
対策 (a)「うわさを信じちゃいけないよ」それホント? 批判的思考、背景見とる想像力、もう一つの見方(多様性)、情報収集力
(b)「白黒つけないカフェ・オ・レ」 多様性の尊重、オープンマインド、自己理解・他者理解の柔軟性、失敗・経験から学ぶ力(弾力性、したたかさ、しなやかさ・・) (C)自尊感情「私OK-あなたOK」のコミュニケーションスキル、ネガティブ感情(不安、怒り、悲しみ、ねたみ、残虐性、攻撃性、差別性)のコントロール
○どうすれば身につけることができるのか
①生きているために必要なこと、生きていくために必要なこと I love me感情は、You love me体験から生まれる⇒②I love me感情 情緒の安定[受容される喜び]⇒③チャレンジ精神 自発性[挑戦する喜び]⇒④コミュニケーション力 社会性[学び合う喜び]⇒⑤つながる力をもった自立した個人 知力・創造性[伸びる喜び]
○「部落差別のない社会」(部落差別解消推定法)から「今」を考える
1871「解放令」(賤称廃止令)-51年→1922水平社創立大会「宣言」-43年→1965同和対策審議会答申(部落差別はあってはならない社会悪)-2002事業法期限 2008「第3次とりまとめ」51年→2016部落差別解消推進法 2019福岡県部落差別解消推進条例-☆?年→部落差別のない社会
○"平和・人権の文化(態度や関係)の形成に向けて個人や集団が部落差別をなくそうとして学習し変容していくプロセスこそが、平和・人権の文化であり、教育は持続可能な諸関係づくりの駆動力である。"(「平和の文化宣言」2000の趣旨)