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「啓発すること」は、「発信すること」。これから部落差別をはじめ、あらゆる差別の問題について発信していきます。

第60回 福岡県人権・同和教育夏期講座

全体会
かかわらなければ ~沢 知恵ピアノ弾き語りコンサートから
                  歌手 沢 知恵さん
[主な曲目]
アメイジング・グレイス
こころ
かかわらなければ(胸の泉に)
故郷
人生の贈り物
雨ニモマケズ

 「かかわらなければ路傍の人 私の胸の泉に 枯葉あちまいも 落としてはくれない」(「かかわらなければ~胸の泉に~」の歌詞)。ハンセン病問題をはじめさまざまな人権問題にかかわることで、あらたな気づきが生まれ、自分にできることは何かを考え、一歩を踏み出すことができる。差別にあらがい、一人ひとりの人権を大切にしたいと願って活動する沢さんの歌と語りにこころ揺さぶられるコンサートでした。
 

 大島青松園と沢さんのかかわり
1966年 父が東京神学大学の夏期伝道生としてひと夏をすごす
 72年 知恵誕生、夏に生後6ヶ月で初めて大島へ
 75年 韓国から日本へ里帰り、大島に寄る
 96年 約20年ぶりに大島へ(らい予防法廃止)
2001年 初めて大島青松園コンサート(国賠訴訟で和解)
 12年 アルバム(かかわらなければ~塔和子をうたう)発表
 14年 千葉県から岡山県へ移住
 16年 1年の空白を経て、丘の上の教会で礼 拝を再開

講座Ⅲ
 差別事象と課題 ~人権文化あふれる心豊かな社会をめざして~
                 筑紫野市総務部人権政策・男女共同参画
                   京町隣保館 館長 星野 操さん
 隣保館・児童センター・地区集会所などがある差別落書きと筑紫野市における差別をなくす取り組みについての報告でした。
 今回の事象は・・
「差別をなくすための施設」で・・
「差別をなくしたいという願い」を込めた子どもから高齢者の活動を踏みにじるものであり、断じて許せない差別落書きです。
問われていること
 差別落書きをはじめ部落差別をなくすために今何をしたらよいか。

差別をなくす取り組みについて
(1)全ての人が部落差別に対する科学的な認識を高め、差別をなくす意志と実践的を養っていく取り組みを進める。
①部落差別の歴史認識と実態認識
○部落差別の悪循環が実態をつくってきた(歴史的・社会的につくられてきた)
○悪循環は今日も続いている
②部落差別の法規認識と現実認識
○法律ができた背景
○部落差別解消推進法の意義
③部落差別をなくす実践意欲や態度
○自分の今の認識に気づき変えていく
  自分の今の認識
     ↓
知る(歴史・実態・法規・現実等)非差別当事者の痛みに共感する。気づきに変わる。自分を豊かにする。
     ↓
学び続けながら差別をなくす活動をする。
(2)部落差別は社会悪であり、してはいけないということを社会の規範にする取り組みを進める①組織的な取り組みをして、差別をなくす人を増やす
・子どもまつり ・識字学級 ・組織的な研究や研修
②啓発を行い差別をなくす人を増やす
・市民懇談会 ・問い合わせ等に的確に主体的に対応して啓発する
③制度的な取り組みを進める
・差別をなくす法律(福岡県部落差別解消推進条例)を周知し、具体化する
・結婚や就職に際しての部落差別事象の発生の防止
・団体や企業で差別をなくすルールづくりをする
おわりに
 差別をしなくなるのがゴールではない。
 差別をなくす人に高まっていくことが大事です。
 そのために必要なことこそが、同和問題を学び続けていくこと。
 その学びが自分を高め、自分の生き方が豊かになること。
 その学びを教育や啓発に生かしていくこと。
 人権文化あふれる心豊かな社会にしていきましょう。