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「啓発すること」は、「発信すること」。これから部落差別をはじめ、あらゆる差別の問題について発信していきます。

Liberation newspaper

川崎市が「条例」制定
初めて刑事罰を盛り込み
 神奈川県川崎市は、12月12日、定例市議会本会議で全国で初めて罰金と刑事罰を盛り込んだ「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」を可決した。段階的に施行し、2020年7月に全面施行となる。
 在日コリアンなど「本邦外出身者」に対する市内の公共の場所での差別的発言行動を、3つの具体的な類型を示して禁止し、「川崎市差別防止対策等審査会」を設置。該当する差別的言動をおこなった人に対し、同審査会の意見を聞いたうえで、勧告、命令と順に発せられる。従わない場合公表し、捜査機関に告発。検察が起訴して裁判で有罪になると、50万以下の罰金が課せられる。

人権を考える 人権週間

  12月4日~10日は、人(権週間です!
 世界のどこでも、だれでも同じように平等で、自由であるという考えで 世界のルールがつくられました。それが「世界人権宣言」です。
 「世界人権宣言」が生まれたのは1948年12月10日のことです。日本では、毎年12月10日を最終日とする1週間を「人権週間」としています。

Liberation newspaper

ネット対策の強化へ
  モニタリングの実施など求め
 第2回インターネット差別情報対策会議が10月31日、東京・中央本部で開かれた。北口副委員長、村井中執をはじめ、19都府県連から31人が参加し、都府県、市区町村に対する要望書の内容の確認、この間実施してきたモニタリング実施団体アンケート調査の中間報告もおこなわれた。
○都府県への要望書では
・モニタリングの実施と削除対応
・地方法務局への報告・削除依頼
・県・市町村との連携、ネット対策の研修など
・市区町村のモニタリング結果の集約
・被害者救済・相談体制の充実
               を確認した。
○市区町村へは
・モニタリングの実施と削除対応
・県・法務局への報告・削除依頼
・モニタリング結果の報告、都府県との連携・ 情報共有
・被害者救済・相談体制の充実
               を確認した。
 鳥取ループ・示現舍の部落差別情報による二次被害など、ネット上の部落差別情報を取り巻く状況と対応について各地から報告があり、意見交換。ネット対策基本方針案、都府県連ネット対策担当者の設置、事務局体制の強化、IT人権人材養成講座など、今後のとりくみが提案された。

狭山学習会

                    京都行橋地区狭山問題を考える住民の会
 久々に狭山の学習をしてきました。
 2009年から始まった3者協議も現在40回を数えています。狭山弁護団は、万年筆に関する鑑定書を新証拠として、万年筆のインクの違いを証明した2016年提出の下山第一鑑定に加え、蛍光X線分析でインクに含まれる元素を分析した下山第二鑑定を2018年に提出しました。インクの違いを、元素分析の面から明らかにし、発見万年筆がニセモノであることをより鮮明に証明したものです。
 検察は、下山鑑定に対して、反論・反証をするといいながら、「何時のことになるのか全くわからない」状況です。下山鑑定で、寺尾裁判長の「無期懲役」判決の根拠が根本的に崩れ、56年前の埼玉県警・特別捜査本部の冤罪・デッチあげの筋書きもくずれ去っています。
 私たちは、東京高検に対して、いまだに隠し持つ数千点にもおよぶ全証拠を出すことを求め、東京高裁に対しては、証人尋問や鑑定人尋問をし、再審開始決定、無罪判決を出すことを強く求めていきます。

若い教職員と考える部落問題セミナー

  『寛政の改革 於・小倉』
~歌舞伎『濃紅葉小倉色紙』の史実~
 小倉城特設ステージで行われる歌舞伎(中村座公演)は、さかのぼればれば、文化13年(1816)に初演された『濃紅葉小倉色紙』にたどりつきます。内容は、「小笠原騒動」という歌舞伎によくあるお家騒動です。
 歌舞伎の中では、小倉小笠原藩の家老・犬神兵部は、自分の愛妾だった「お大の方」を主人、小笠原豊前守に差し出します。ところがその「お大の方」のお腹には、兵部の子どもが宿されていた・・つまり、兵部とお大の方による「小笠原家乗っ取り」という物語です。
 この犬神兵部のモデルは、犬甘智寛という家老です。では、なぜそんな犬甘が、歌舞伎では《悪役》にされなければならなかったのか・・?
 家老・犬甘知寛による《寛政の改革・小倉バージョン》は大成功(銀8000匁の蓄財をつくる)を収めました。しかしそれを農村部から見ると、※のありさまです。
※田川郡大庄屋の返書
   添田文書(北九州部落解放史資料) 意訳
 藩から『なぜ最近、田川郡は厳しい状況になっているのか?』の問い合わせに対して、大庄屋連中が話し合って答えたものです。
 それは、寛政5(1793)年から10カ年間、豊作・凶作にかかわらず「惣定免制」で年貢の取り立てがおこなわれたためです。さらに享和2(1802)年には洪水もあり、たまりかねた百姓は翌年春の拝借米の嘆願に小倉行くなどの事件がありました。
 とにかく10カ年間の「惣定免制」のために、大百姓も含めて郡内では、数百軒の百姓がつぶれました。百姓は離散して人口がへり、耕し手のない水田が村々にずいぶんたくさんできました。田川郡がおとろえた原因はここにあります。
 財政再建に成功した・・でも、その「財・お金」は、どこから生まれてきたの?成功した。でもそれは、「藩にとっての財政再建」という意味です。
 「享和2年には洪水もあり・・嘆願に小倉に行くなどの事件がありました」は、藩主・忠苗(ただみつ)を引退に追い込むという大事件になりました。また、犬甘も罪を得て、失脚しました。
 ところで、この引退した忠苗のあとを継いだのが、忠固です。歌舞伎にまで取り上げられた「白黒騒動」がおきたのは、この時です。何と藩士340人が大挙、他領・筑前黒崎に出奔するという前代未聞の騒動です。さらにその後も、「白派」と「黒派」の間で藩政が揺れ動くのです。幕末、小倉城を焼いて企救郡を放棄するのです。
◎江戸時代の京都行橋地域では・・
○かわた(えた)が生活する村は、30ヶ所ほどありました。彼らの生業は、農業でした。「死牛馬の処理」をおこなう村は、3ヶ所しか古文書には登場しません。その3ヶ所にしても、主業は農業です。
行刑をおこなう役は、小笠原領内の「かわた・えた」にはなかったようです。強いて挙げれば、行刑に近いものとしては、「牢番」役がありました。また、犯罪者の捕縛については、おこなっていないと考えてよいと思います。古文書では、18世紀末に1例あるのですが。
身分制度があった時代ですから、「かわた(えた)」も当然その中で生活していました。農村部で大多数を占める百姓と同じように農業を主業としていたので、欠かせない存在であったことは間違いありません。だとすれば、身分が異なるという意識はお互いにあったとしても、さらにそこから「社会的な差別感情」が生まれる余地は・・?

県民講座2019 第3回

演題 情報戦争とネット上の人権侵害
講師 津田大介さん
○講師プロフィール
 ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。早稲田大学文学部学術院教授。メディアとジャーナリズム、著作権、コンテンツビジネス、表現の自由などを専門分野として執筆活動を行う。近年は、地域課題の解決や社会起業、テクノロジーが社会をどのように変えるかをテーマに取材を続ける。
○インターネット接続=人権←国連認める(知る権利が根拠)
SNSで社会が変わる(ポジティブに)
アラブの春occupy wall street(2011)、雨傘運動(2014)、保育園落ちた日本死ね(2016)、me too運動(2017)、熊本地震の時→新聞社が避難所情報→学生がマッピング、市長が水が出ている所教えて(ツイッター活用)、クラウドファンティング(東日本大震災不登校フリースクール、沖縄の離島に医療飛行機)
ポスト真実 2016「今年の言葉」(オックスフォード英語辞書)
 ポスト事実の政治とは、政策の詳細や客観的な事実より個人的信条や感情へのアピールが重視され、世論が形成される政治文化。(イギリスのEU離脱トランプ大統領)
→事実の軽視(フェークニュース)、感情の優越、分断の感覚(差別の顕在化)
輿論(よろん)と世論(せろん)の違い
輿論(よろん)→人前でも堂々と言える公的関心、世論(せろん)→相手に面と向かって言えない私的心情⇒新国立競技場、東京オリンピックエンブレム問題⇒国際コンペ、輿論の支持がネット世論に押されて覆され、政治的意思決定された。
○一部を切り取って悪意に伝えることが可能。イメージとして(氷山の一角)→例、ハワイのキノコの山、沖縄の看板、多様な人が映るトランプ大統領の集会(多様な人に支持されている。)コンサート会場(寄ると結構人がいる、引くとがらがら。)⇒一部を切り取ることで、違うイメージになる。→個人がテレビ並の影響力を持つ。
○フェークニュースがなぜなくならないのか?
・義憤に燃えた人(確信犯)
・世論工作を請け負った業者(2014衆議院選挙多くのツイートがコピー、依頼の判明)
・ビジネスとして煽るメディア(アクセスを稼ぐ、月700万円 上位サイト、企業広告の問題)
・中間層(善意の第三者)
○非マイノリティポリティクス→マイノリティとして満たされていない。
・ネット上の批判→主に3パターンに分類
A 韓国・中国に対する憤り(Aも弱者)
B 弱者利権
C マスコミに対する批判(Bの擁護者)
⇒すべてBになる→マイノリティへの違和感
⇒ネット上「弱者を叩く記事」が中心←広告収入
○ロシアのネット世論工作(昔、スパイ、今、ネット諜報者)⇒ネット業者が世論をコントロールする時代→サクラ書き込み、報酬を得て、リツイート
○AIで何ができる
・画像、動画をつくる。記事を書く(朝日新聞 高校野球地方大会短評)
・ヘイト記事→怖い
・AIを検索に利用
○フェークニュース→正しいニュースよりも拡散する(1500人に到達する速度6倍)→拡散するのは人間だった(善意の第三者)
○ネット上の人権侵害の対策(ユーザーが好き勝手できないように)
・「技術」で解決→業者に対策
・「経済制裁」広告協会(配信停止)
・発信者情報開示請求の改善で解決
・報道で解決
ヘイトスピーチ規制
・プラットフォーム規制       ・広告規制
・実名公表(訴訟コストの問題)   ・サイトブロッキング
・法規制
○若者の保守化(現状追認)
ネット利用によって→ネット排外主義的意識
欧州委員会→IT大手4社と合意(ヘイトスピーチ対策)→なかなか進まない→法規制するよ
・ドイツ→60億円の罰金→過剰削除→混乱
・中国、シンガポールのように強い規制を取ると
  →中国に「報道の自由」あるか
・法廷にも
○相手と社会的関係を築き、文脈に入って行くことで「聞く耳」を持ってもらう。

例 野球のファンクラブ
○ネット社会だからこそ「会って話す」ことの大切さ
ゲートキーパーとしての報道の信頼が落ちている。←フェークが入り込む隙を作っている。
○三つの情報源の確保→バランス良く
・ネット
・紙(書籍・新聞)
・人(会話)、体験