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「啓発すること」は、「発信すること」。これから部落差別をはじめ、あらゆる差別の問題について発信していきます。

「教育問題からみた日本の社会と政治」-学校の日常を「見える化」するー

「教育問題からみた日本の社会と政治」-学校の日常を「見える化」する-
内田 良(名古屋大学大学院准教授)
Ⅰ「教育」という病
○[スポーツ時の重大事故の背景として念頭に置いておくべきこと]
過酷なトレーニング、非科学的な指導
   重大事故の発生
      ↑
   身体能力の低下
      ↑
   暴力、根性の世界
  (↔️スポーツ科学・医学的指導)
高校野球夏の大会の時期(地方大会・アルプススタンドの応援にも目を向ける)、インターハイ屋外競技の時期も。
○ところで・・
● いじめ
● 体罰(教師から子どもへの身体的暴力)
● 虐待
学校における授業等の教育活動で言及されるのはどれ?
  見えているようで、見えていない?!
○同じように悪いはず
体罰→免職0.0%(指導の一環?)
飲酒運転→免職52.7%
わいせつ→免職56.0%(昔スキンシップ)
○「見える化」タワーの危険性 ヤフーニュースで情報発信
▽組体操のリスク
10段の組体操 崩壊の瞬間と衝撃ー2人の生徒が教師に抱えられて退場
[緊急提言]組体操は、やめたほうがよい。子どものためにも、そして先生のためにも。
「教育」(『広辞苑』(第七版))とは・・
「望ましい知識・技能・規範などの学習を促進する意図的な働きかけの諸活動」
リスク(軽視) ベネフィット(リスクの逆)=教育
        (重視)
2016年3月 ついに国が動いた!!
組体操事故 スポーツ庁「安全確認ない時は見合せを」全国で事故が相次いでいる組体操について、スポーツ庁は25日、安全性を確実に確認できない場合は実施を見合せるよう求める通知を全国の都道府県教委などに出した。
→運動会の一種目に国が介入
・「みんなが楽しくなる組体操を普及したい。」(日本体育大学荒木達雄教授)
Ⅱ先生たちの超・長時間労働に迫る
「部活動、教員、負担」の記事件数の増加
2016年頃~ 部活動における教員の負担への関心
自死の原因 1学校←責めやすい 2家庭の問題→アンテナを!
・一生懸命に働いているのに
●やる気なくすんだけど・・
●登下校の指導、掃除、学級通信、運動会、卒業式の練習、部活動、家庭訪問、修学旅行…面倒な仕事はたくさんあるでもね・・
→教育的意義の語り⇒"優先順位"の語りへ・教育は無限、教員は有限(これからは、そんな時代じゃないよね。)
○リスクへのアクション
・誘惑モデル→プラスを増やそうとする。
・持続可能モデル→マイナスだけ減らしていく(見える化)
○外部の声に耳をふさぐのではなく、聞こえないぶりをするのではなく
       ↓
●職員室は"無風状態"だから、ツイッター
●マスコミ・市民が立ち去る前に!!
●「子どものため」からの脱却「教育者」である前に「労働者」
○インサイダー(中にいる時)の危うさ→学校も同じ
・基地反対運動に取り組む奥間さんの話
1995年米兵による少女レイプ事件(キャンプ・ハンセン)その時、私は、キャンプ・ハンセン内の工事現場の責任者だったことに気づく、レイプ事件のことをほとんど知らずに工事をしていた。「当時の自分を恥ずかしく思う。」
○暑いので・・午前中でお開き「半日運動会」   ↑         急増 弁当もなし
働き方改革なのに(子どものために)
→マイナス見える化していない。
アウトサイダーの視点→いろんなものが見えてくる。
○過労死の問題
公立の小中学校教員の一週間あたりの学校内での勤務時間数→過労死ライン(過労死の認定ライン)を超えている。→時間管理なき長時間労働
※学校文化→子どものために時間もなく働く
教員の半数は所定の休憩時間数を知らない。
・「給特法(1971年制定)」とはどんな法律?
教職調整額(給料月額+4%)のかわりに残業(代)なし=「定額働かせ放題」⇒現時点で、月に10万円残業代不払い(労働が労働とみなされない)①時間意識の欠如(学校)②コスト意識の欠如(行政、学者)「時間外の勤務は・・内容にかかわらず、教員の自発的行為として整理せざるをえない」★最高裁も同様の判断→不払い残業=合法
※1966年度の「教員勤務状況調査」週に2時間弱の残業時間(現在は週に約20時間)
Ⅲ 制度設計なき部活動の未来を考える
総合型地域スポーツクラブ、民間のスポーツクラブ・お稽古事、学習塾[学校教育外、教育過程外] 部活動、補習[学校教育内、教育過程外]⇒制度設計なき教育活動 授業[学校教育内、教育過程内]
・教員養成系大学のカリキュラムに「部活動」を学ぶ授業なし!
・運動部顧問の約半数が当の競技種目の「経験なし」
ハンマー投げのエリア→授業用のグラウンドに部活動の各種競技を無理やり押し込める。
・高校水泳部員→授業用の浅いプール(溺れないように)で部活動(競泳)のための飛び込みスタート→高校の水泳部活動で身体をどこか一回はぶつけた3割がある。
・中学校の休日における「部活動」が突出して増加。(2016年「教員勤務実態調査」)
・中学校や高校における「国語」の授業 「楽しい」からといって、暴走するか?→標準授業時数、単位数が歯止めとなる。
○教育→たくさんやればすばらしい!
・自主的だから加熱する。→楽しい、子どものため→歯止めがかからない。
・制度設計なき部活動、制度設計なき長時間労働
○〈競争〉と〈居場所〉の論理
・改革の鍵
1)総量規制+外部人材/完全移行(時間数、日数、大会参加数の制限)
2)「居場所」の論理と「競争」の論理の明確な役割分担
⇒人や場所の資源制約のなかで持続可能な運営